【ネットが遅い原因は】回線が遅い原因でない、意外な原因とその対策(2018.4)


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あれ?インターネットが遅い・・・?!

インターネットが遅いなぁ・・・と思う事は無いでしょうか。

せっかく光回線にしたのに、全然速くない・・・!!きっと回線が混んでいるのでは。。。。と思う人も多いと思います。

最近では、回線が遅いのでは?!と思う人に対して「2Gの高速回線」を売り込んでくる業者などがあります。

「フレッツ光が遅いから回線を変えましょう」などの売り文句で慌てて回線を変えてしまっても、「結局体感速度はあまり変わらない・・・ orz... 」

手間と暇とコストをかけて、しかも数年間縛り・・・なんて・・・失敗した、という人が続出しているのも実態です。

光回線を変えても体感速度は「実は変わらない!」

ネットが遅い原因は「光アクセス回線」では・・・なかった・・・

いまから20年より前、ISDNやADSLの頃はインターネットが遅い原因の一つに回線の速度がありました。

しかし時は過ぎて、光回線が普及してきている今、事情は少し変わってきています。

<ネットが遅い五大原因>

ネットが遅い理由の大半が、パソコンや無線LAN、インターネットやアクセス先のサーバで、フレッツ光などの光回線では無いのです。

遅いのは「サーバ」へのアクセス集中、そして宅内無線LANとパソコン性能

インターネットでホームページを閲覧したり、動画を見たりする場合、様々な通信環境を経由して、サーバにたどり着きます。

そしてサーバはユーザの要求に応じてページを返したり、動画データを送信したりします。

道路で例えるならば、下の図のようなイメージになります。

@Aパソコンの処理性能、ABCネットワークの混雑によるスループットの低下、Dサーバ処理時間が原因です。

パソコンの性能は足りている?

パソコンの性能が足りていない場合、もっさりします。

・CPU:corei シリーズ以前 や Ryzenシリーズより以前 → 性能不足です

・メモリ:4GB未満 → 足りていません

・HDD:メインHDDが「SSD」でない → 遅くなります

さらに、上記の条件で、市販ウイルス対策ソフトを入れていると、さらに遅くなります。

LANケーブルはカテゴリ5e,カテゴリ6を使用している?

家の中のLANケーブルの規格が「カテゴリ5e」や「カテゴリ6以上」でないと、「100Mbps以上」のスループットは出ません。ケーブルの種類をご確認ください。

無線LANアクセスポイントと電子レンジ

無線LANは、無線なのでスループットが出たりでなかったりします。

一般的に、「2.4GHz帯」=11b/11g/11nの2.4Ghzのほうが、「5GHz帯」=11a/11nの5GHz、11acよりも電波が飛びやすい(遠くまでつながります)

なお、家電から出る「ノイズ」にも注意が必要です。電子レンジを使用すると、電子レンジから出るノイズ(電波)で、無線LANがつながらなくなることが多くあります。特に2.4GHz帯は、電子レンジを使用している間、まったくつながらなくなることも多いです。

家が鉄筋であったり、マンションで距離が離れている、豪邸でアクセスポイントまで距離がある場合は、複数のアクセスポイントを設置したり、有線接続にすることも検討しましょう。

光アクセスネットワーク部分

ネットワークはいくつかに分けて考える必要があります。フレッツ光回線の部分は、データを伝送するだけなので、数ミリ秒程度遅延せず、また、帯域も充分にあります。実はここではあまり混みあわないのです。いわば高速道路のようなイメージです。

インターネット部分

光アクセスとインターネット部分って、何が違うの?と思われることもあると思います。

光アクセスは、NTT東西が管理している部分(フレッツの部分)、インターネット部分はプロバイダ(ISP)から先の部分、というイメージになります。

インターネットに出ると、アクセスするサーバ(例えばYOUTUBEのサーバや、ホームページのサーバ)によって、通信が混む所があります。アクセスが集中するサーバへのアクセスは、いくら光アクセスサービスが高速でも、インターネット部分が混雑すると、通信速度は低下します。(家のパソコンとサーバ間で、通信の混み具合から、送出速度を自動的に調整しています)

高速道路から降りて、下道に出ていくようなイメージです。

そのため、高速道路のICの近くにあるようなサーバはスムーズにアクセスできますが、そうでない場合は、渋滞が起きます。

通信速度は、一番遅い区間の速度に合わされてしまいます。そのため、いくらアクセス回線が10Gなどの速い速度でも、インターネットを利用した時の体感速度はあまり変わらない、ということも少なくありません。

ちなみに、なぜ、通信の速度を調整するか、というと、通信が混雑している時に大量のデータを送信すると、途中でデータがあふれて「廃棄」されてしまいます。そうすると、もう一度データを送信し直さなければいけなくなり、時間がかかってしまいます。通信速度の制御はその「廃棄」を防ぐために、ベストな状態になるように自動的に調整するのです。送出速度が遅くなることは悪いことではありません。(パソコンとサーバ間で送出速度の制御がうまく行われない場合、帯域を超えたデータは、ルータ(中継器)で廃棄され消失したり、バッファに入って通信が空くまで待たされたりします)

一人1Mbpsでアクセスしても、1万人がアクセスすると・・・

YOUTUBEやホームーページなどの「サーバ」の入り口となる通信部分はボトルネックポイントです。サーバがインターネットに接続している帯域が「100Mbps」の場合、例え2Gbpsのネットワーク回線で接続して、仮にあなた一人がそのサーバを専有したとしても100Mbps以上は出ません。更に何十人が同時にアクセスした場合、単純に平均を取ると数Mbps以上は出ません。実際のサーバはもっとシビアなので、一人当たり平均数百キロbps程度出れば良いほうです。

一人1Mbpsが10,000人が同時にアクセスする場合、10Gbps・・・。こんなに太い帯域でインターネットに接続できるサーバは稀となります。

サーバで時間がかかる

そして、一番、処理時間がかかり、遅延時間も大きくなるのは、サーバ部分です。

サーバでは、データを受け取って、プログラムが動作し、場合によっては処理を行って、データを送信する、それをリアルタイムで処理したとしても、時間がかかります。

サーバでは、データを取りこぼさないように、大きいサイズのバッファが設定されている場合が多くなります。混雑しているとそこで待ち時間が発生します。そして、受け取ったデータを判別して、データにアクセスして送出する処理をします。この処理は数百ミリ秒〜数秒程度要します。伝送では往復でも数ミリ秒〜数十ミリ秒程度なので、サーバの部分は伝送の何倍、何十倍の処理時間を要します。更に、多くのパソコンやスマホからアクセスがある場合、更に時間がかかります。

こうすればネットが速くなる?!

では、次にそれぞれの体感速度低下の原因と対策を記載していきます。

対策@ パソコンの性能不足の解消

<特徴>常に遅い、もっさり感がある、HDDが常にアクセスしている、画面の表示が遅い

パソコンの性能が不足している場合、通信回線を変えても改善しません。

ブラウザボタンを押してもなかなか開かない、画面が表示されるまで時間がかかる、

例えば「株サイト」など動的表示を行うサイトがやたら遅い、HDDのアクセスランプが常に点灯している、などがあります。

最近のホームページは、パソコン側で処理をする必要があるサイトが増えてきており、以前よりもパソコンの処理負担が増える傾向があります。

例えばレイアウトが凝ったページ、プログラムやスクリプトがブラウザで動くページなどは負担が高まります。

<対処法>パソコンの改善

パソコンを買い替える でも・・・高いですし、そう簡単には難しいと思いますので、以下の改善案をご提案します。

メモリが不足している場合(例えば2GB程度しかない場合)・・・Windows10などでは、市販のUSBメモリを活用して、パソコンの処理性能を改善する「ReadyBoost」機能があります。ただし、劇的には変わるかというと、若干、よくなる程度です。USBメモリは常にパソコンに挿入したままにしますので、できれば超小型のものをお勧めします。

ReadyBoostで高速化

 

対策A ウイルス対策ソフトの見直し

<特徴>常に遅い、もっさり感がある、画面表示が遅い

最近のウイルス対策ソフトは、多くの機能がある反面、どうしてもパソコンの負荷を高めます。またネットへのアクセスも遅くなります。

特にパソコンの性能が不足している場合、顕著に体感速度に影響します。

場合によってはCPUの50%をウイルス対策ソフトが消費しているということもあります。

<対処法>

市販ウイルス対策ソフトやフリーのウイルス対策ソフトがパソコンの負荷を高めている場合、アンインストールをしてWindowsDefenderに戻すという対策があります。市販ウイルス対策ソフトをアンインストールして、再起動すると、WindowsDefenderが自動的に有効になります。

WindowsDefenderに戻して高速化

 

対策B 無線LANの環境改善・有線化

<特徴> 急につながらなくなったり、アンテナの数が減ったりする

家庭内で無線LANを使用しているケースは多いと思います。

無線LANの普及により、無線LANのアクセスポイント同士が競合して、通信速度が低下することがあります。

最近の無線LANアクセスポイントは、周囲の通信状態から自動的に最適なチャンネルを設定しますが、

無線の状態は刻々と変化するため、外部の電波が強くなったり、電子レンジなど電波の影響を受けて通信速度が低下する事はよくあります。

また、壁1枚を隔てるだけで大幅に通信速度が低下することも良くあります。

無線LANは規格上の最大スループットの3割〜半分も出れば良いほうで、1〜2割でも仕方ない。

<対処法>

@通信速度が必要な場合は有線での接続に変えてみる(必ずカテゴリ5e、カテゴリ6以上のケーブルを使用します)

A無線LANアクセスポイントをパソコンやスマホの近くに移動する

B比較的混雑しにくい5GHzの無線LANを使用する。(ただし5GHz帯は物陰などで急にスループットが低下します。アクセスポイントから距離がある場合はお勧めできません)

 

対処C インターネットの混雑時間帯を回避する

<特徴> 夜9〜12時が遅い

インターネット区間の通信速度は刻々と変化します。

十Mbps程度の通信速度が出ることがあれば、数百キロbps程度しか出ない時もあります。

ただし、最近では、大手サイト(Youtubeなどの動画サイトなど)は、ネットワーク的に近くにサーバが設置してあることが多く、インターネット部分の影響をあまり受けないようにして、体感速度が低下しないよう工夫されています。

<対処法> インターネット部分の改善には、あまり良い対処法はありません

@アクセスする時間を変えてみる

A格安プロバイダを使用している場合、プロバイダを変えてみる(手間はかかりますが・・・)

 

対処D アクセス先サーバ・・・は・・・

<特徴> 特定のサイトだけが遅い、でも他はサクサクアクセスできるサイトもある

サーバが混雑して応答が遅れている、またはサーバが接続しているインターネットの帯域が不足している可能性があります。

<対処法> サーバ側が原因の場合、ユーザでできる対処はありません

@アクセスするサイトを変えてみる

Aアクセスする時間を変えてみる

 

以上が、ネットが遅い原因の分析です。

「フレッツ光が遅いからXXXXに変えましょう」などの売り文句で、慌てて回線を変えてしまっても、「結局、体感速度はあまり変わらない・・・ だまされた・・・orz... 」と、後悔しないためにも、いま、何が原因で遅いのか、今一度確認してみましょう。

<参考>

【ネットワーク遅延時間の計算】光ファイバーの遅延時間の計算するページ